MEMS発振器の周波数安定度



水晶、MEMSに関わらず、発振器の出力周波数は、温度によって変化します。この周波数温度特性は、性能を示す重要な指標であり、周波数安定度(単位:PPM(Parts Per Million))という単位で表されます。
SiTime製品の周波数安定度のスペックには、温度、電圧、プロセス、はんだ付け工程における偏差が含まれます。

 

 

SiTime 32 kHz発振器の周波数安定度

SiTimeの革新的なTempFlatTM MEMS技術に基づく32kHz発振器の周波数安定度は、水晶振動子よりも2倍優れた精度を有します。下図に、SiTimeの32kHz発振器のバラツキ(実測値)を青い線、水晶振動子のバラツキを赤い線で示します。室温(25℃)において、水晶振動子のバラツキは20ppmですが、SiTimeの32kHz発振器は、更に小さく10ppm以下のバラツキを実現しています。また、産業用温度範囲におけるSiTime発振器の周波数安定度は、75~100ppmと水晶(160~200ppm)より優れています。

32kHz-XO-stability



TempFlatTM MEMSベースの32kHz発振器に温度補正機能を加えることで、±5ppm以下の周波数安定度を実現します。SiTimeのTCXOは、水晶ベースのソリューションよりも最大80%小型で、消費電力も50%削減しています。

32kHz-TCXO-stability

 

SiTime MHz発振器の周波数安定度

下図は、標準的なATカット水晶発振器と、SiTimeのMEMS発振器の周波数安定度を示したものです。SiTimeのMEMS発振器には温度補正回路が内蔵されているため、全温度で非常にフラットな周波数安定度を実現しています。これは、産業用途のような広い温度範囲において高い精度を必要とするアプリケーションの仕様を満たします。

SiTimeは水晶デバイスのメーカーが提供できない±10ppmのXOを提供します。実際、SiTimeの10~25ppmのXOは、70 MHzを超える周波数において、水晶やSAW(弾性表面波)、オーバートーン発振器よりも優れた性能を有しています。これはSiTimeがタイミングデバイス市場にもたらす革新のひとつです。

10ppm-XO-stability

 

また、水晶発振器とSiTimeのMEMS発振器における周波数安定度の比較結果を下図に示します。同じ25ppm製品であっても、SiTimeのMEMS発振器が、水晶ベースの発振器よりも周波数安定度が優れていることが分かります。

10ppm-XO-stability